今回から将棋のルールを覚えた方を対象にした将棋の初心者講座をしていきたいと思います。こちらを参考にして少しでも棋力の向上に貢献できると幸いです。
Contents
駒を得する手筋
将棋には手筋がいくつもありますが、今回は駒得をするための手筋を簡単に紹介します。
1.駒の価値
駒の価値は王を抜かして、歩→桂馬→香車→銀→金→角→飛車の順番に高いです。局面によって重要な駒は変化することもありますが、基本的にはこの順番に駒が強いと覚えておくと良いです。
谷川浩二先生が駒の価値を点数で示していたためそちらを表にまとめました。こちらを参考にして2枚替えのとき駒得かどうかなども考えてみると良いと思います。
歩 | 桂馬 | 香車 | 銀 | 金 | 角 | 飛車 |
1 | 3 | 4 | 5 | 6 | 8 | 10 |
2. 桂馬の手筋
ふんどしの桂

ふんどしの桂と呼ばれる手筋です。こちらは歩と桂馬以外の駒であれば両取りで確実にどちらかの駒と桂馬を交換できるため駒得になります。
例題1

手番は先手です。この局面ではふんどしの桂の手筋が使えます。ヒントは【角筋を活かす】です。
例題1の解答

正解は3四桂です。角がいるため同歩とすると玉が取られてしまうため、同歩とはできません。玉が逃げるしかありませんが金をとって駒得です。角と桂馬のコンビネーションは実践でもよくある形なので覚えておきましょう。
例題2

手番は先手です。この局面ではいきなりふんどしの桂を使える状態ではありませんが3手先まで読めれば駒得ができる局面です。ヒントは【手持ちの桂馬と盤面の桂馬を使う】です。
例題2の解答

まず2六桂とします。こちらは控えの桂と呼ばれる手筋で次に3四桂として両取りを狙います。

後手は3三銀引としてきました。

そこで2五桂馬とすれば銀が逃げれば3四桂馬で両取りになり、放置しても次に桂馬で銀をとれば駒得になります。
途中3三銀引ではなく金や玉、3二の銀で3四の地点を守ってきた場合は次の図のように4五歩とすれば銀と歩の交換になるため駒得になります。

3.香車の手筋
田楽刺し

田楽刺しと呼ばれる手筋です。角とその後ろに強力な駒がいるときに香車を打つことでどちらかの駒を取れるため駒得になります。
例題

手番は後手です。端攻めで香車を手にしました。1六香車として端を攻めても良いですが、この局面ではさらに厳しい手があります。(次から見やすさのために先後を反転させます。今回は少し見にくいかもしれませんがご了承ください。)
解答

正解は7四香車です。田楽刺しは出現頻度は低いですが、決まるとかなり有利になる手筋なので、香車を手持ちにしたときは、盤面を広くみましょう。
4.銀の手筋
割りうちの銀

斜めに動けない飛車や金に対して銀で両取りをかける手筋です。銀で金か飛車との交換になるため、駒得になります。
例題

手番は後手です。(見やすさのために先後を反転させました。)ヒントは【3二の角が金取りになっていることを活かす】です。
解答

まず5八歩とします。同金だと3二に角がいるため、5四角として金を取り、駒得になります。

そのため、相手は同飛車とします。

そこで6九銀とすれば割りうちの銀が決まり、駒得です。

途中5八歩に対して横に逃げる手は、やはり3二の角で金を取れるため駒得です。

銀には手筋として紹介されることはなくとも両取りにできる形が存在します。金も同様にその形があるため次の金の手筋でまとめて紹介します。
5.金(銀)の手筋
金には名前のついている駒得をするための手筋はありません。しかし金と銀は大駒(角と飛車)を両取りにできる形がいくつか存在するためそれらを紹介します。

こちらは金、銀どちらも前3マスに動けるため角と飛車の両取りができる形です。

こちらは斜めに進める銀特有の形です。左の形は銀でなく角であっても使えます。

こちらは横に進める金特有の形です。
これらはいずれも飛車と角が接近しているときに生じるものなので、飛車と角が接近しているときはこの筋を考えてみると良いと思います。
6.角(飛車)の手筋
角、飛車も駒得の名前のついた手筋はありませんが、動ける範囲が広いため両取りの形が存在します。

角で両取りをかけた形です。玉や飛車でなくてもただで駒が取れる場合は駒得になります。

飛車で両取りをかけた形(十字飛車と呼ばれます)です。こちらもただで駒を取れる場合には玉と角でなくても駒得になります。
7.歩の手筋
歩は最も弱い駒ですが、枚数が多く手筋も複数あります。しかしどれも簡単ではないため最後に紹介することにしました。今回は、ダンスの歩と呼ばれる実践では滅多に現れないものの、歩の手筋のすごさがわかりやすいと個人的に思った手筋を紹介します。
ダンスの歩

手番は後手です。見やすさのために先後反転させています。

まず6七歩成とします。

同銀は6六歩と打たれ、7八の金でとると8七飛車成とされてしまうため5八の金でとります。

そこで6六歩と打ちます。

相手は5七金とよけるしかありません。

そこで5六歩と打ちます。

相手は5八金とします。

もう一度6七歩成とします。

この歩はどの駒でとっても次の6六歩で駒得になります。

今回参考にさせていただいた棋書および手筋に関するおすすめ棋書
手筋の教科書は初心者におすすめの棋書です。教科書と言われるくらいなので基本的な手筋がほとんどです、そのため初心者の方にはおすすめですが、上級者の方には少し物足りないと感じる内容になっています。
羽生の法則は初心者から上級者まで広く使える棋書です。特に歩の手筋がおすすめなので個人的には羽生の法則1だけでも十分ではないかと思います。
駒得の手筋はAmazon unlimitedを利用して読ませていただいた棋書です。初心者の方には少し難しい内容になっていますが、今回の記事と趣旨が同じだったため紹介させていただきました。
まとめ
今回は駒得する手筋を紹介しました。手筋を知っているのと知らないのでは盤面の見え方が全く変わってくると思います。この他にも手筋はたくさんありますが、今回紹介したものは比較的実践でもよくでるものだと思うので、まずはこちらを記憶してから他の手筋を覚えるのが良いと思います。ここまで読んでいただきありがとうございました。